還暦を迎えるダウン症の人たちに、私たちは何ができるのか！

 かつては成人まで生きられるかどうかと言われていたダウン症のある人たち。しかし、医療技術の進歩により、今では還暦を超えることも珍しくなくなっています。では、社会はどのように彼らを支えていけばよいのでしょうか。

「両親は姉を施設に預けたとき、ここまで長く生きるとは思っていなかったと思います」と話すのは、長崎県に住むKさん。彼女は7歳から医療施設で生活している60歳の姉をサポートしています。姉は数年前に白内障や膀胱の手術を受けましたが、「痛い」や「見えづらい」といったことを自分でうまく伝えるのが難しいため、周囲が気づくことが重要です。

Kさんの父は数年前に他界し、母も最近88歳で亡くなりました。姉を支えるため、Kさんは弟たちと力を合わせています。姉は母の姿を求めているようで、Kさんは会うたびにスマホで母の写真を見せると、姉は嬉しそうにそれをじっと見ています。

ダウン症の人たちの平均寿命は、1970年代には10歳程度とされていましたが、医療の発展により、今では60歳程度まで延びています。専門家によると、先天性心疾患を乗り越えれば長生きすることも可能です。しかし、ダウン症の人は成人後も心臓の不調やその他の疾患を抱えやすいため、定期的な受診が大切です。

身体的な老化も早く起こりがちで、40歳で健常者の50歳、50歳になると70歳程度の老化が見られます。背中が丸くなり、認知機能も低下しやすいのが特徴です。40代でアルツハイマー病を発症するケースもあります。

東京都に住むSさんは、ダウン症の次男がいる母親です。彼が中学生のときに職場体験を経て、自信を持てる仕事を探すようになりました。彼は山梨のぶどう園での体験を楽しみ、これが自分にできることだと感じるようになりました。家族はこの経験を生かし、農園を立ち上げ、地域の人々と協力して活動を続けています。

「人とのつながりを大切に積み重ねていけば、大きなものにつながる」と話すSさん。ダウン症のある人たちが充実した生活を送り、支え合う社会の重要性を彼女は感じています。

息子の成長を見守りながら、Sさんは「息子が大切なことを教えてくれた」と穏やかに語りました。

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