食用昆虫ビジネスの挑戦:コオロギ企業の倒産と未来への展望
食糧不足を解消するために注目を集めていた食用コオロギの会社がついに倒産しました。それは、長野県茅野市に拠点を置く「クリケットファーム」という企業でした。わずか3年の営業活動の後、負債は親会社を含めて2億4290万円に達し、破産手続きが始まりました。
クリケットファームは、自社の公式サイトで「今、世界中で食糧危機が叫ばれています。だからこそ、私たちは昆虫食に目を向け、新しい動物性タンパク質の選択肢を提案します」と呼びかけていました。同社の商品は、茅野市や岡谷市のふるさと納税の返礼品にも採用され、NHKや民放のテレビ番組でも取り上げられていました。しかし、2023年12月に家賃の支払いが滞り、翌年1月には弁護士から破産の連絡が入りました。
昆虫食はSDGsの観点から注目されていますが、一方で多くの人々からは「ちょっと苦手かも」「見た目が無理」といった嫌悪感も示されています。地元の政治家もこの問題に注目し、クリケットファームを視察しました。彼らは、食育や地域交流の一環として学校給食や工場見学に昆虫食を取り入れることを提案しましたが、ビジネスモデルの道筋は見えていませんでした。
昆虫食に関する議論は、過去にも起こっています。例えば、徳島県立小松島西高校ではコオロギパウダーを使った給食が試験的に提供されましたが、一部の人々からはクレームが相次ぎました。このパウダーを提供したのは、昆虫食ベンチャーのグリラスでしたが、彼らも逆風にさらされ、ペット用のコオロギ粉末飼料を提供する「コオロギ研究所」を閉店する決断をしました。
グリラスの代表取締役は、取材の中で、「畜産物の生産には限界があり、牛や豚、鶏の値上がりが懸念されています。こうした問題を解決するために、食用昆虫が重要な役割を果たすことが必要です」と述べています。
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