世界の研究力ランキング:中国が2年連続トップ、日本は過去最低順位に!
中国が2年連続で世界1位に輝くトップ論文の数で注目を集めました。これに対し、日本は過去最低の12位に後退しています。日本の研究開発環境や学術政策に関して、文部科学省の科学技術・学術政策研究所が毎年調査を実施しており、世界主要国の研究開発費、研究者数、論文数などを分析しています。
この調査の結果を元に、生物学や物理学などの分野における論文を国別に分析しました。論文の質は他の研究者からの引用回数によって評価され、引用が多いほど高い評価を受けることが一般的です。
報告書によれば、他の論文から引用される回数が上位1%に入る「トップ論文」の数は中国が5516本で、2年連続で世界1位を獲得しました。2位はアメリカの4265本でした。対照的に、日本は前年から5本減少し、319本で12位に位置しました。この結果、スペインと韓国に抜かれ、過去最低の順位となってしまいました。
論文の引用回数が上位10%に入る「注目論文」の数でも、中国が5万4405本で2年連続の1位を記録し、アメリカが3万6208本で2位となっています。一方、日本は前年比で13本減少し、3767本となり、過去最低の13位にランクダウンしました。
さらに、総論文数においては日本が3000本以上の増加で全体の5位に位置し、総数は7万775本となりました。国際的にも論文数が増加傾向にあり、中国は約6万本の増加を記録しています。
今回の調査によって初めて明らかになった事実として、論文がどの国で引用されているかという点が挙げられます。中国は他の主要国に比べて国内の論文を引用する割合が高く、アメリカにおける引用割合を下回る結果となりました。ただし、一方で「Nature」や「Science」といった特定の学術雑誌においては、中国の論文シェア率が増加していることが確認されています。文部科学省は、論文の評価は多角的な視点から行うべきだと強調しています。
日本は研究開発費や研究者数においてもアメリカや中国に次ぐ3位を維持していますが、他の国に比べて成長が鈍化しており、特に高度な専門性を持つ博士号取得者の数が減少している傾向が見受けられます。こうした状況においても、文部科学省は日本の研究力が低下しているわけではないと指摘しています。
しかし、働き方改革などによって研究時間の確保が難しくなっていることや、教育の一環として研究を行うケースが多いこと、また海外との比較においてチーム構成の違いが順位に影響していると分析されています。
このような背景から、日本の研究活動の分野における存在感が低下する可能性が懸念されています。今後は、研究環境の改善や国際的な競争力の強化が求められるでしょう。
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